リースバックの評判を調べようとすると、出どころの書かれていない口コミがたくさん出てきます。しかし、誰が・いつ・どの会社について書いたのかを特定できない文章は、判断材料になりません。会社ごとに条件がまるで違う取引で、対象会社が分からない感想を読んでも比べようがないからです。
代わりに使えるのは、公に開かれている窓口です。宅地建物取引業法8条2項4号は、宅地建物取引業者名簿に登載する事項として「第六十五条の規定による処分を受けたことがあるときは、当該処分の年月日及び内容」を挙げています。処分歴は名簿に残り、法10条により名簿は一般の閲覧に供されます。
取引で実際に起きていることは、国民生活センターが相談事例として公表しています。匿名の感想ではなく、受付年月と年代・性別つきの相談内容です。
そして最後に効くのが、各社が公式に書いている条件そのものです。普通借家か定期借家か、再契約はできるのか、買戻しの価格はどう決まるのか。ここが違えば、同じ「リースバック」でも別の商品です。
出典のない口コミが判断材料にならない理由
リースバックは、売買契約と賃貸借契約が同時に動く取引です。売却価格、家賃、賃貸借の種類、再契約の可否、買戻しの条件——このどれもが会社ごと、物件ごとに違います。
そのため、口コミを判断に使うには最低でも次の3つがそろっている必要があります。
図1 口コミを読むときにそろっていてほしい3点
- どの会社のことかが書かれている。「リースバックは家賃が高い」だけでは、どの会社の話か分からない
- いつの話かが書かれている。条件は改定される。3年前の家賃設定は今の判断に使えない
- どんな契約だったかが書かれている。普通借家か定期借家か、期間は何年か。ここが違えば体験の意味が変わる
この3つがそろわない文章は、内容が事実かどうか以前に、自分の状況に当てはめられません。「家賃が上がった」という感想が、普通借家の増額請求の話なのか、定期借家の再契約時に条件が変わった話なのかで、対処の仕方はまったく別になります。家賃の増減については借地借家法32条と38条9項の記事で条文から整理しました。
窓口1 宅地建物取引業者名簿に処分歴が載る
いちばん確実なのが名簿です。宅地建物取引業法8条1項は「国土交通省及び都道府県に、それぞれ宅地建物取引業者名簿を備える。」とし、2項で登載する事項を列挙しています。4号がこれです。
第六十五条の規定による処分を受けたことがあるときは、当該処分の年月日及び内容(宅地建物取引業法8条2項4号)
65条は指示処分と業務停止処分を定めた条文です。つまり、監督処分を受けた事実は、いつ・どんな内容かまで名簿に残ります。そして法10条が、名簿と一定の書類を「一般の閲覧に供しなければならない」と定めています。閲覧は免許行政庁の窓口で行います。

名簿には変更の届出も反映されます。法9条は、商号や役員などに変更があった場合、30日以内に届け出なければならないと定めています。役員や事務所が短期間に何度も変わっていれば、それ自体が情報です。
窓口2 国の検索システムで免許を確かめる
名簿の閲覧に行く前に、その会社が宅地建物取引業者かどうかは自宅から確かめられます。国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、商号でも免許番号でも引けます。
免許番号のかっこの中の数字は更新の回数で、有効期間は5年です。読み方と検索の手順は宅建業免許の確かめ方にまとめました。
| 知りたいこと | 出典のない口コミ | 公的な窓口 |
|---|---|---|
| その会社が免許を持っているか | 分からない | 国の検索システムで確認できる |
| 行政処分を受けたことがあるか | 分からない | 名簿に年月日と内容が載る(法8条2項4号) |
| どんなトラブルが起きているか | 書き手の1件だけ | 国民生活センターが受付年月つきで公表 |
| 契約の条件 | 断片的 | 各社の公式ページと重要事項説明 |
| 自分の場合いくらになるか | 分からない | 見積もりを取る以外にない |
窓口3 国民生活センターが公表している相談事例
「実際に困った人の声」を探しているなら、まずここです。国民生活センターは2026年8月4日に「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」を公表し、相談事例と消費者へのアドバイスを載せています。

掲載されている事例には、受付年月と相談者の年代・性別が付いています。匿名の感想と違い、いつ受け付けた相談かが分かるのが決定的な差です。内容は3つの相談事例をまとめた記事で扱いました。
公表資料は、同センターが相談を受けた範囲のものです。すべての取引を網羅した統計ではありません。ただし「どういう筋道でもめるのか」という型を知るには十分な材料になります。
窓口4 各社が公式に書いている条件を突き合わせる
最後が、比較の本体です。口コミで「良かった」「悪かった」と言われている中身は、たいてい次のどれかに還元できます。
図2 公式ページで拾えて、口コミでは拾えない項目
賃貸借契約の種類
普通借家か定期借家か。定期借家なら期間満了で終わり、再契約は貸主の判断です。
再契約の可否と回数制限
回数制限の有無を書いている会社と、書いていない会社があります。
買戻しの条件
買戻しができるか、価格はどう決まるか、いつまでに行うか。
対象物件の条件
築年数、面積、構造、地域。条件を満たさなければそもそも申し込めません。
費用の内訳
仲介手数料、登記費用、契約書の印紙、事務手数料。どこまで買主負担かは会社ごとに違います。
この5項目を同じ形式で並べると、口コミを100件読むより早く差が見えます。同じ条件で複数社に出させる手順は相見積もりの記事にまとめました。
2026年10月1日からは、リースバックの勧誘で賃貸借の条件を告げないことが宅建業法上の禁止行為に位置づけられます。条件を書いていない、聞いても答えない、という対応そのものが問題になるということです。内容は国のガイドラインの記事で扱いました。
調べる順番
| 順番 | やること | かかる手間 |
|---|---|---|
| 1 | 国の検索システムで免許の有無と免許番号を確かめる | その場で無料 |
| 2 | 公式ページで賃貸借の種類・再契約・買戻し・費用を書き出す | その場で無料 |
| 3 | 国民生活センターの公表資料でトラブルの型を把握する | その場で無料 |
| 4 | 免許行政庁で名簿を閲覧し、処分歴を確かめる | 窓口に出向く |
| 5 | 同じ条件で複数社から見積もりを取る | 日数がかかる |
1から3までは自宅で完結します。ここまでで候補が絞れるので、口コミを読む前にやってしまうのが効率的です。
よくある質問
口コミサイトの評価点は参考になりますか
点数そのものからは、どの会社のどの契約について、いつの話かが読み取れません。点数を見るより、その会社の公式ページに賃貸借の種類と再契約の条件が書かれているかを確かめるほうが、比較の材料になります。
行政処分を受けた会社かどうかは検索システムで分かりますか
検索システムで分かるのは免許の有無・免許行政庁・免許番号です。処分の年月日と内容は宅地建物取引業者名簿に登載される事項で(法8条2項4号)、名簿は法10条により免許行政庁で一般の閲覧に供されます。
国民生活センターの事例に載っていない会社なら安全ですか
公表資料は、同センターが受け付けた相談のうち注意喚起のために選ばれたものです。掲載がないことは、トラブルがなかったことの証明にはなりません。
知人の体験談は判断に使えますか
会社名・時期・契約の種類が分かるなら、口コミより有用です。ただし物件と条件が違えば金額は変わるため、自分の物件で見積もりを取ることが前提になります。
結局、何を一番先に確かめればよいですか
賃貸借契約が普通借家か定期借家かです。ここで住み続けられる年数の考え方が変わります。違いは普通借家と定期借家の記事に整理しています。
参照した一次情報
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(昭和27年法律第176号)https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176(8条1項・2項の名簿と登載事項、2項4号の処分の年月日及び内容、9条の変更の届出、10条の名簿等の閲覧。令和8年4月1日施行版/2026年9月27日確認)
- 国民生活センター「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260804_1.html(2026年8月4日公表。相談事例と消費者へのアドバイス。2026年9月27日確認)
- 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」宅地建物取引業者検索https://etsuran2.mlit.go.jp/TAKKEN/takkenKensaku.do(商号・免許番号・所在地による検索。2026年9月27日確認)














