リースバックの定期借家は途中で解約できる?借地借家法38条7項の3条件と、1か月で終わる仕組み

定期借家は途中で解約できる?借地借家法38条が認める例外と書かれたアイキャッチ画像

リースバックでは、売ったあとの賃貸借に定期借家契約が使われることがあります。定期借家は更新がないぶん、途中で状況が変わったときにどうなるのかが気になります。契約書に「中途解約はできません」と書かれていることもあり、その場合に本当に出られないのかは、法律の条文で確かめられます。ここでは借地借家法第38条の規定を、条文の文言に沿って整理します。

先に結論

  • 定期借家でも、条件を満たせば賃借人から解約を申し入れられます。借地借家法第38条第7項が定めています。
  • 条件は3つです。居住の用に供する建物であること、床面積が200平方メートル未満であること、やむを得ない事情で生活の本拠として使用することが困難になったこと
  • 解約が認められる場合、賃貸借は解約の申入れの日から一月を経過することによって終了します。
  • この規定に反する特約で賃借人に不利なものは無効です(同条第8項)。契約書の記載より条文が優先します。
  • 3条件を満たさない場合は、契約書の定めによります。中途解約の条項がなければ、期間の満了まで賃料の支払いが続くのが原則です。

条文が認めている例外は、3つの条件がそろったとき

定期借家契約は、期間が満了すれば更新なく終わります。裏を返せば、期間の途中で出ていくことは想定されていません。ただし借地借家法は、住まいについて例外を置いています。

第38条第7項は、第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、賃借人は解約の申入れをすることができるとしています。この場合、賃貸借は解約の申入れの日から一月を経過することによって終了します。

定期借家の中途解約が認められる3つの条件と、満たさない場合の扱いを並べた図
3条件はすべて同時に満たす必要がある。ひとつでも欠けると、この規定は使えない。

床面積について条文は、建物の一部を賃貸借の目的とする場合には当該一部分の床面積で見るとしています。マンションの一室であれば、その専有部分で判断する形になります。

e-Gov法令検索に表示された借地借家法第38条の条文画面
出典:e-Gov法令検索「借地借家法(平成三年法律第九十号)」第38条。

契約書に「中途解約不可」と書かれていても

実務でよく問題になるのが、契約書の文言との関係です。同条第8項は、前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは無効とすると定めています。つまり、3条件を満たす場面について「一切解約できない」とする特約は、その限りで効力を持ちません。

契約書の書き方 3条件を満たす場合 3条件を満たさない場合
中途解約について何も書いていない 第38条第7項により解約を申し入れられる 期間の満了まで契約が続くのが原則
「中途解約はできない」と書いてある 賃借人に不利な特約として、その部分は無効 特約のとおり、途中で終わらせられない
中途解約の条項があり、違約金が定められている 条文の規定が使える。特約が不利であればその部分は無効 条項の内容に従う。違約金の額を確かめる

ただし、無効になるのは「賃借人に不利な」部分です。条文より賃借人に有利な条項、たとえば事情を問わず1か月前の申入れで解約できるという定めは、そのまま有効です。契約書を読むときは、条文より緩いか厳しいかという目で見ると判断しやすくなります。

契約前から終了までに、条文が求めていること

第38条は、中途解約だけでなく、契約の入口と出口にも手続きを定めています。リースバックの契約を検討する段階で確かめておくと、あとから争いになりにくくなります。

定期借家契約の説明・締結・中途解約・終了通知・満了までの流れを時系列で示した図
入口の説明と、出口の通知。どちらも条文が求めている手続き。
事前の説明がなければ無効

更新がなく期間の満了で終了することを、書面を交付して説明する義務があります。説明がなかったときは、更新がないとする定めは無効になります。

書面で契約する

公正証書による等書面によって契約するときに限り、更新がないとする定めができます。電磁的記録による場合は書面とみなされます。

終了の通知にも期限がある

期間が1年以上のとき、賃貸人は満了の1年前から6月前までに終了の通知をしなければ、終了を賃借人に対抗できません。

この記事は条文の整理です。「やむを得ない事情」に当たるかどうかは、個別の事情によって判断が分かれます。転勤・療養・親族の介護は条文に例示されていますが、それ以外の事情が当たるかは一律には決まりません。

実際に解約を申し入れる前に、契約書の条項と自分の事情を持って、弁護士や自治体の相談窓口に確認してください。

解約を申し入れるときに残しておくもの

条文が使えるとしても、あとから「そんな事情は聞いていない」と言われると話が長引きます。申入れの日から一月で終了するという効果は日付に結びついているため、いつ申し入れたかを示せる形で残すのが安全です。

残すもの なぜ必要か
申入れをした日付が分かるもの 終了日は申入れの日から一月を経過した日になる。日付が争いになると終了日も動く
事情を示す資料 転勤の辞令、療養や介護の必要を示すものなど。条文の要件に当たることを説明する材料になる
契約書と重要事項説明の書面 床面積、用途、契約の型を確かめる。事前説明の書面があったかどうかも確認できる
やりとりの記録 口頭のやりとりだけだと、条件や日付の認識がずれたときに確かめようがない

とくに床面積は、自分の記憶ではなく書面で確かめてください。200平方メートルという境目に近い物件では、ここが結論を分けます。登記事項証明書や契約書に記載された数字を基準にします。

リースバックで確かめておく点

リースバックの賃貸借が定期借家である場合、住み続けられる期間は契約で決まります。中途解約の規定は「出たいとき」の話であって、「住み続けたいとき」を保証するものではありません。ここを取り違えると、期間満了のときに困ります。

場面 条文が助けてくれるか 確かめること
途中で出たくなった 3条件を満たせば、第38条第7項で解約できる 居住用か、200平方メートル未満か、事情が当たるか
期間満了後も住み続けたい 更新の規定はない。再契約の交渉になる 再契約の可否と条件が契約書にどう書かれているか
家賃が負担になってきた 減額を求める規定の適用は契約の内容による 賃料の改定に関する特約があるか

契約前の段階であれば、そもそも定期借家にするのか普通借家にするのかを確かめる余地があります。条件の比較は、家賃の額だけでなく、契約の型と期間、再契約の扱いまで含めて行うほうが安全です。

よくある質問

定期借家でも途中で解約できますか

居住用で床面積200平方メートル未満の建物について、転勤・療養・親族の介護その他やむを得ない事情により生活の本拠として使用することが困難となったときは、賃借人から解約を申し入れられます。申入れの日から一月で終了します。

契約書に「中途解約不可」と書いてあります

借地借家法第38条第8項は、この規定に反する特約で賃借人に不利なものは無効としています。3条件を満たす場面については、契約書の記載よりも条文が優先します。

事業用に借りている場合はどうなりますか

この規定は居住の用に供する建物の賃貸借に限られています。事業用の場合は対象外で、契約書の定めによることになります。

200平方メートルはどこで判断しますか

建物の床面積で判断します。建物の一部を賃貸借の目的とする場合は、その一部分の床面積で見ると条文に書かれています。

解約を申し入れたら、いつ出ればよいですか

条文は、解約の申入れの日から一月を経過することによって賃貸借が終了すると定めています。申し入れたその日に終わるわけではないため、その一月分の賃料と、引っ越しの段取りを見込んでおく必要があります。

期間が満了したら必ず出ていくのですか

定期借家契約に更新はありません。住み続けるには再契約が必要で、それに応じるかどうかは賃貸人の判断になります。契約時に再契約の扱いを確かめておいてください。

不動産リースバックランキングはこちら

不動産リースバック無料相談・無料査定。ご相談ください。