定期借家契約とは?更新がない賃貸借の条件と、リースバックで見るべき5点

定期借家契約の仕組みと条件を借地借家法にもとづいて解説する記事のアイキャッチ

定期借家契約とは、契約の更新がない建物の賃貸借契約のことです。期間が満了すればそこで終わり、住み続けるには貸主とあらためて契約し直すことになります。

リースバックでは、家を売ったあとに賃貸借契約を結んで住み続けます。そのときの契約が定期借家契約になっていることがあります。ここを見落とすと、数年後に住まいを失うことになりかねません。借地借家法の条文で、何がどう違うのかを確かめます。

普通借家との違いは「更新があるかどうか」

普通借家契約と定期借家契約について、更新の有無・正当事由・契約の方式・事前説明・終了通知の違いを借地借家法の条文にもとづいて並べた比較表
同じ「賃貸借契約」でも、更新の扱いがまったく違います。

まず普通借家契約から見ます。借地借家法第26条は、期間の定めがある建物の賃貸借について次のように定めています。

当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす

出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第26条第1項(2026年9月4日確認)

何もしなければ自動で更新される、という建て付けです。さらに第28条は、貸主が更新を拒む通知をするには「正当の事由」が必要だとしています。判断にあたっては、双方が建物の使用を必要とする事情、従前の経過、利用状況、建物の現況、立退料の申出などが考慮されます。

借りている側が強く守られているのが普通借家です。これに対して定期借家では、更新そのものがありません。

期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる

出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第38条第1項(2026年9月4日確認)

「更新がない」と決められるのは、条件を満たしたときだけです。その条件を次に見ます。

定期借家として成立するための3つの条件

期間の定め・書面での契約・事前の書面による説明という3条件と、説明を欠いた場合に更新がない旨の定めが無効になることを示した図
3つのうちひとつでも欠けると、更新がないという定めは通りません。
# 条件 条文
1 期間の定めがあること 第38条第1項
2 公正証書による等、書面で契約すること(内容を記録した電磁的記録でもよい) 第38条第1項・第2項
3 あらかじめ、更新がなく期間の満了で終了する旨を記載した書面を交付して説明すること 第38条第3項
出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第38条(2026年9月4日確認)

3番目は、契約書とは別の書面で、契約の前に説明することを求めています。条文はこの説明を欠いた場合の効果まで定めています。

建物の賃貸人が第三項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする

出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第38条第5項(2026年9月4日確認)

契約そのものが無効になるのではなく、「更新がない」という部分だけが効かなくなります。つまり普通借家として扱われることになります。ここは覚えておく価値があります。

終了するときにも通知が要る

期間が満了すれば自動的に出ていくことになる、というわけでもありません。第38条第6項は、期間が1年以上の定期借家について次のように定めています。

期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない

出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第38条第6項(2026年9月4日確認)

通知がなければ、貸主は終了を主張できません。ただし同項のただし書きは、通知期間を過ぎてから通知した場合、その通知の日から6か月を経過した後は対抗できるとしています。遅れても、通知から半年で終了できるということです。

貸主の通知 いつ終了するか
満了の1年前〜6か月前に通知した 期間の満了で終了する
通知期間を過ぎてから通知した 通知の日から6か月を経過した後に終了を対抗できる
通知していない 終了を賃借人に対抗できない
出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第38条第6項(2026年9月4日確認)

借りている側から解約できる場合がある

定期借家は期間の途中で解約できないのが原則ですが、居住用には例外が定められています。

居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる

出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第38条第7項(2026年9月4日確認)

この場合、賃貸借は解約の申入れの日から1か月を経過することによって終了します。さらに第38条第8項は「前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする」としています。契約書で消せる権利ではありません。

要件 内容
用途 居住の用に供する建物
床面積 200平方メートル未満
事情 転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情
状態 建物を自己の生活の本拠として使用することが困難になったこと
終了時期 解約の申入れの日から1か月を経過したとき
出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第38条第7項・第8項(2026年9月4日確認)。あてはまるかどうかの判断は個別の事情によります。

家賃の増減を請求できなくなる特約に注意

もうひとつ、見落とされやすい定めがあります。第38条第9項です。

第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない

出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第38条第9項(2026年9月4日確認)

第32条は、事情の変化に応じて借賃の増減を請求できるという規定です。定期借家で家賃改定の特約が置かれていると、この規定が適用されません。

つまり「家賃は毎年◯%上げる」といった特約があれば、それがそのまま効きます。リースバックでは家賃の設定が焦点になるので、ここは必ず確認してください。家賃の考え方はリースバックを安く利用するための完全ガイドにまとめています。

リースバックの契約でどこを見るか

確認すること 見るところ なぜ
普通借家か定期借家か 契約書に「更新がない」旨の定めがあるか 住み続けられる期間が変わる
事前説明の書面をもらったか 契約書とは別の書面。契約前に受け取ったか なければ更新なしの定めは無効(第38条5項)
期間は何年か 1年か、3年か、それ以上か 終了通知の要否が変わる(第38条6項)
再契約についてどう書かれているか 「再契約できる」なのか「協議する」なのか 更新とは別の、新しい契約になる
家賃改定の特約はあるか 改定の時期と幅 特約があると借賃増減の請求ができない(第38条9項)
買戻しの条件 金額・期限・方法 将来買い戻すつもりなら中心の条件になる
契約書全体の見方は別記事にまとめています。ここでは定期借家に関わる点だけを挙げています。

4行目に注意してください。定期借家に更新はありませんが、期間の満了後に新しく契約を結び直す「再契約」は可能です。ただしそれは貸主との合意が前提で、更新のように当然に続くものではありません。

契約書の項目を網羅的に確認したい場合はリースバック契約書の完全ガイド、複数社の条件を並べて比べるならリースバックの相見積もりをご覧ください。

よくある質問

定期借家だと必ず出ていくことになりますか

期間の満了で契約は終わりますが、貸主と合意できれば再契約はできます。ただし再契約は新しい契約なので、家賃や期間が変わることもあります。当然に続くものではない、という点が普通借家との違いです。

契約書に「定期借家」と書いてあれば定期借家ですか

書いてあるだけでは足りません。第38条は、書面での契約に加えて、あらかじめ書面を交付して説明することを求めています。説明がなかった場合、更新がない旨の定めは無効になります(第38条5項)。

口頭で説明を受けましたが、書面はもらっていません

条文は「その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない」としています。書面の交付がなかった場合の扱いは個別の事情によりますので、契約書と受け取った書類を持って弁護士にご相談ください。

期間の途中で引っ越したくなったらどうなりますか

居住用で床面積200平方メートル未満の建物なら、転勤・療養・親族の介護その他やむを得ない事情で生活の本拠として使えなくなったときに解約を申し入れられます(第38条7項)。それ以外の理由の場合は、契約の中途解約の定めによります。

この記事の要点

  • 定期借家契約は更新がない建物の賃貸借。期間の満了で終了する(借地借家法第38条1項)
  • 普通借家は、通知がなければ同一条件で更新したものとみなされ、貸主の更新拒絶には正当の事由が要る(第26条・第28条)
  • 定期借家として成立するには、期間の定め・書面での契約・事前の書面による説明の3つが要る
  • 説明を欠くと、更新がない旨の定めは無効になる(第38条5項)
  • 期間1年以上なら、満了の1年前〜6か月前の通知がなければ終了を対抗できない(第38条6項)
  • 居住用・床面積200平方メートル未満なら、やむを得ない事情での中途解約が可能(第38条7項)。これに反する不利な特約は無効(第38条8項)
  • 家賃改定の特約があると、借賃増減の請求ができない(第38条9項)

参考にした一次情報

e-Gov法令検索に掲載されている借地借家法のページ
条文はすべてこのページの本文から引用しています。出典:e-Gov法令検索「借地借家法(平成三年法律第九十号)」(2026年9月4日確認)

2026年9月4日に確認しています。法令は改正されることがあります。この記事は条文の一般的な説明であり、個別の契約の有効性や結果を保証するものではありません。実際の契約については、契約書と受け取った書面を持って弁護士など適切な専門家にご相談ください。

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