リースバックで住み続けられる期間は何で決まる?普通借家と定期借家を借地借家法26条・28条・38条で確認

住み続けられる期間は契約の種類で決まることと、普通建物賃貸借は借地借家法26条・28条、定期建物賃貸借は38条という根拠の違いを左右に並べたアイキャッチ画像
結論から

リースバックで何年住み続けられるかは、業者の方針ではなく結んだ賃貸借契約の種類で決まります。普通建物賃貸借か、定期建物賃貸借か。この2つは借地借家法の中で別々の条文に置かれていて、期間が来たときの扱いが根本から違います。

普通建物賃貸借なら、貸主が期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされます(借地借家法26条1項)。しかもその通知をするには正当の事由が必要です(28条)。

定期建物賃貸借は、公正証書による等書面によって契約するときに限り、更新がないこととする旨を定められます(38条1項)。契約書の表題ではなく、この条文の要件を満たしているかどうかが分かれ目です。

普通建物賃貸借は「更新される側」に立っている

e-Gov法令検索に表示された借地借家法第二十六条(建物賃貸借契約の更新等)、第二十七条(解約による建物賃貸借の終了)、第二十八条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)の条文
出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第26条〜第28条(令和8年5月21日施行、2026年9月22日に表示を確認)。
普通建物賃貸借で働く条文
条文 内容
26条1項 期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知がなければ、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなす。ただしその期間は定めがないものとする
26条2項 通知をした場合でも、期間満了後に賃借人が使用を継続し、賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも同じ扱いになる
27条1項 賃貸人が解約の申入れをした場合、建物の賃貸借は申入れの日から6か月を経過することによって終了する
28条 更新拒絶の通知や解約の申入れは、正当の事由があると認められる場合でなければできない
29条1項 期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす
30条 この節の規定に反する特約で賃借人に不利なものは、無効とする

28条が挙げている考慮要素は具体的です。貸主と借主が建物の使用を必要とする事情、賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況と現況、そして明渡しの条件として、または明渡しと引換えに財産上の給付をする旨の申出があればその申出。立退料の申出が考慮要素として条文に書かれています。

30条も効きます。この節の規定に反する特約で賃借人に不利なものは無効です。契約書に「更新はしない」と書いてあっても、普通建物賃貸借として結ばれているなら、その文言だけで26条の適用が外れるわけではありません。

定期建物賃貸借は要件が揃って初めて成立する

e-Gov法令検索に表示された借地借家法第三十八条(定期建物賃貸借)の条文。公正証書による等書面によって契約をするときに限り契約の更新がないこととする旨を定めることができること、事前に書面を交付して説明しなければ更新がない旨の定めは無効になることなどが定められている
出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第38条(令和8年5月21日施行、2026年9月22日に表示を確認)。

要件1 書面で契約する(38条1項)

公正証書による等書面によって契約をするときに限り、更新がないこととする旨を定められます。内容を記録した電磁的記録による場合も、書面によってされたものとみなされます(同条2項)。

要件2 事前に説明する(38条3項)

貸主はあらかじめ借主に対し、更新がなく期間の満了により終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません。借主の承諾を得れば電磁的方法でもかまいません(同条4項)。

説明を欠くと定めが無効(38条5項)

この説明をしなかったときは、更新がないこととする旨の定めは無効とされます。定期借家のつもりの契約が、普通借家として扱われることになります。

終了の通知(38条6項)

期間が1年以上の場合、貸主は期間満了の1年前から6か月前までに終了する旨を通知しなければ、終了を借主に対抗できません。通知期間を過ぎて通知したときは、その通知の日から6か月を経過した後であれば対抗できます。

借主側の中途解約(38条7項)

居住用で床面積200平方メートル未満の建物について、転勤・療養・親族の介護その他のやむを得ない事情により自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主から解約を申し入れられます。申入れの日から1か月で終了します。

2つを並べると

普通建物賃貸借と定期建物賃貸借の違い(借地借家法より)
項目 普通建物賃貸借 定期建物賃貸借
期間満了後 通知がなければ更新したものとみなす(26条1項) 更新がないこととする旨を定められる(38条1項)
契約の方式 制限の定めはない 公正証書による等書面(または電磁的記録)によること
事前の説明 — 書面の交付と説明が必要。欠くと定めが無効(38条3項・5項)
貸主から終わらせる条件 正当の事由が必要(28条) 期間の満了。1年以上なら終了の通知が必要(38条6項)
借主に不利な特約 無効(30条) 38条8項が7項に反する特約を無効としている

「再契約できます」は更新とは違う

定期建物賃貸借では、期間が来れば契約が終わります。そのうえで改めて契約を結び直すのが再契約です。再契約するかどうかは、そのときの当事者の合意次第です。更新のように条文で守られている仕組みではありません。

「再契約の回数に制限はありません」という説明を受けたとしても、それは再契約に応じる方針を示したものであって、応じる義務を条文が課しているわけではありません。ここが普通建物賃貸借との一番の差です。

買主が変わっても賃貸借は残る

住み続けられるかどうかを考えるとき、もうひとつ押さえておきたい条文があります。借地借家法31条です。「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」と定めています。

リースバックでは、自宅を売ったあとに買主が別の第三者へ転売することがあります。このとき、引渡しを受けて住んでいれば、新しい所有者に対しても賃貸借を主張できます。賃借権の登記をしていなくても効力が生じる、というのがこの条文の意味です。

ただし守られるのは賃貸借の部分です。買戻しの約束のように賃貸借とは別の契約でしている取り決めは、31条の射程に入りません。転売されたあとも買い戻せるかどうかは、契約でどう手当てしてあるかによります。ここは契約前に確かめておくところです。

契約前に確かめる5点

1

契約書の種類を確かめる

普通建物賃貸借か定期建物賃貸借か。表題だけでなく、更新に関する条項を読みます。

2

定期借家なら説明書面を受け取ったか確かめる

38条3項の説明書面は、契約書とは別に交付されるものです。受け取っていない場合、更新がない旨の定めは無効とされます。

3

期間と再契約の条件を書面で確かめる

何年で、再契約の可否と条件がどう書かれているか。口頭の説明ではなく契約書の文言で確認します。

4

家賃の改定条項を見る

住み続けられる期間と同じくらい、いくらで住み続けられるかが効きます。家賃の決まり方はリースバックの家賃はどう決まる?にまとめています。

5

買戻しの条件を分けて考える

住み続ける話と買い戻す話は別の契約です。買戻しの条件は賃貸借の条文では守られません。

よくある質問

リースバックで住み続けられる期間についてよくある質問
質問 条文にもとづく答え
何年住み続けられますか 契約の種類で変わります。普通建物賃貸借なら更新の仕組みが働き、定期建物賃貸借なら期間の満了で終わります
貸主から出ていけと言われたら 普通建物賃貸借の更新拒絶や解約の申入れには、正当の事由が必要です(28条)
解約を申し入れられたらいつ終わりますか 賃貸人からの解約の申入れは、申入れの日から6か月を経過することによって終了します(27条1項)
契約書に「更新しない」と書いてあれば定期借家ですか 書面での契約と事前の説明という要件を満たす必要があります。説明を欠くと、その定めは無効です(38条5項)
1年未満の契約はどうなりますか 普通建物賃貸借では、期間を1年未満とするものは期間の定めがない賃貸借とみなされます(29条1項)
定期借家でも途中で出られますか 居住用で床面積200平方メートル未満なら、やむを得ない事情があるときに解約を申し入れられます。申入れから1か月で終了します(38条7項)
借主に不利な特約は有効ですか 普通建物賃貸借については、30条が賃借人に不利な特約を無効としています

業者ごとの契約の種類と期間は、公表条件で比べられます。同じ物差しで見る手順は不動産リースバック業者の比較にまとめています。期間の数字より先に、どちらの契約なのかを確かめてください。

この記事が参照した一次情報

本記事は条文の整理であり、個別の契約の効力について判断を示すものではありません。契約の内容については、弁護士または司法書士に確認してください。

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