不動産リースバックに申し込みを検討している方は、いつまでに入金されるのか?どういう流れで進むのか?きちんと把握しておいた方が良いでしょう。今回は、不動産リースバックの「申込」「現地調査」「契約手続き」「入金」の流れ・スケジュールを丁寧に解説します。
不動産リースバックの「申込」「現地調査」「契約手続き」「入金」の流れ
ステップその1.【申込者】申込
不動産リースバック業者を比較検討しながら、候補の不動産リースバック業者にWEBサイトから申し込みます。
この段階では、複数の不動産リースバック業者に申込をして、相見積もりを取る形をおすすめします。契約の前段階であれば、何社を同時並行しても構わないのです。
ステップその2.【申込者】不動産リースバック業者から「申込内容確認」のご連絡
期間:申込から、数分~数時間
申込から、数分~数時間、基本的にはその日のうちに不動産リースバック業者から「申込内容の確認」の連絡が入るのが一般的です。(このフローがない不動産リースバック業者もあります。)
「申込内容にお間違えありませんか?」という確認と、不足している情報がある場合の「追加のヒアリング」になります。
ステップその3.【不動産リースバック業者】簡易査定
期間:2営業日程度
不動産リースバック業者は、申込フォームに入力された情報、電話で確認した情報を基に「簡易査定(仮査定)」を行います。
簡易査定(仮査定)の内容
- 買取査定金額
- 賃料(月額賃料)
- 特記事項
を、入手した情報から仮に査定するものです。
本仮査定通知書は、買取査定金額・賃料について確約するものではございません。
とある通りで、あくまでも机上査定と呼ばれる、現地を見ずに行う査定ですので「目安」としてのみ機能します。
ただし、よほど現地に問題がある物件以外は、簡易査定と本査定で大きな差は発生しません。
ステップその4.【申込者】不動産リースバック業者から「簡易査定結果の通知」「申込意思の確認」のご連絡
期間:簡易査定が終わったらすぐ
不動産リースバック業者は、簡易査定が終わったら、申込者に連絡を取ります。
内容は
- 簡易査定でリースバックが利用できるか?否か?
- 簡易査定の結果(買取査定額、賃料)
- 申込意思の確認
です。
この段階で、審査結果がわかります。物件や希望額によって、買い取れない可能性があるためです。
審査が問題ない方は、買取査定額(売却額)と賃料(家賃・リース料)がおおよそ決まります。
内容に納得できれば「申し込みます。」と回答すれば良いだけです。
相見積もりをしている場合は「他社にも査定依頼をしているため、もう少しお待ちください。」と回答を延期してもらいましょう。
大抵の不動産リースバック業者は、申込意思を確認せずに、現地調査などをしてしまうとコストがかかるので、この段階で「申込意思の確認」をするのです。
不動産リースバックの家賃(リース料)はどうやって決まるのか?
不動産リースバックの買取価格はどうやって決まるのか?
ステップその5.【申込者】申込の必要書類の準備
期間:申込意思を伝えたら
「申し込みます。」と回答したら、次は、不動産リースバック業者から申込に必要な書類がメールや郵送で送られてきます。また、同時に「現地調査」「面談」の日程調査が行われます。
必要書類一覧を見ながら、準備する必要があります。
「申込」時の不動産リースバックの必要書類
- 身分証明書(免許証・保険証)
- 固定資産税通知書
- 固定資産評価証明書
- 収入証明書(源泉徴収票・年金通知書等)
- ローン支払い明細書
※上記以外にも、必要書類を求める不動産リースバック業者があります。上記は一般的な不動産リースバック業者の必要書類の例です。
基本的にどの必要書類も、手元にあることが多いので、用意する時間はそれほどかからないでしょう。※契約時には別の必要書類が必要になります。
ステップその6.【申込者】【不動産リースバック業者】面談・現地調査
期間:申込意思を伝えたタイミングでお互いのスケジュールを調整して設定
基本的に不動産リースバックでは「面談」が必須事項となっています。「面談」は「現地調査」と同時に行うため、対象物件に不動産リースバック業者の担当者もしくは外注された不動産鑑定士が訪問する形で行われます。
「面談」と同時に「現地調査」が行われます。
「面談」で行われること
- 顔合わせ(挨拶)
- 申込に関する必要書類の確認と受領
- 簡易査定結果の説明
- 不動産リースバックの注意事項の伝達
- ヒアリング
- 不明点の確認と回答
「現地調査」で行われること
- 建築図面や登記図面との照合
- 接道状況の確認
- 隣地との境界線の確認
- 隣地との高低差の確認
- 隣地との擁壁の種類
- 上下水道・ガスの種類と宅地内への引き込み状況の確認
- 建物の構造の確認
- 現地から200m以内の嫌悪施設の確認
- ゴミ置場の位置や処理の方法の確認
- 駅、学校、買い物の確認
- 用途地域の確認
- 建物の状況の確認
- 近隣での事件性の聞き込み
など
不動産リースバック審査で行われる現地調査とは?現地調査では何をチェックされるのか?
ステップその7.【不動産リースバック業者】本査定・社内決済
期間:1営業日程度
不動産リースバック業者は「面談」「現地調査」の結果を受けて、本査定を行います。
担当者は、本査定結果を基に、上司や役員、社長の決済を得るための内部資料を作成します。
無事、内部資料の決済が終われば、最終的な「家賃」「買取額」が確定するということになります。
ステップその8.【申込者】本査定結果の通知
期間:1営業日程度
不動産リースバック業者から、「面談」「現地調査」の結果を受けた、本審査の結果を通知されます。
最終的な「買取額」「家賃」「買戻しに必要な金額」が提示されます。
同時に
と「契約の意思確認」が行われます。
契約の意思を伝えると、契約時に必要な書類の情報と、契約日の日程調整が行われます。
ステップその9.【申込者】契約時の必要書類の準備
期間:書類の準備期間
「契約時」時の不動産リースバックの必要書類
- 住民票
- 印鑑証明書
- 権利書
- マイナンバーの写し
こちらも、基本的には市役所で取得可能です。また、マイナンバーカードがあれば、コンビニでも取得できる書類です。用意するのにそれほど時間がかからないはずです。
また、同時に契約前に加入している「火災保険(地震保険)の解約」手続きを行うことになります。
ステップその10.【申込者】【不動産リースバック業者】契約手続き
期間:契約意思を伝えたタイミングでお互いのスケジュールを調整して設定
基本的に契約は、不動産リースバック業者の会社に訪問する形で行うことが一般的です。遠方の方の場合は「出張費用」などの実費負担で、出張対応するケースなどもあります。
契約手続きでは
- 必要書類の確認
- 契約書の説明
- 契約書へのご捺印
- 不動産登記(同席した司法書士が委任状を受け取って、登記所で登記を行う)
が行われます。
ステップその11.【不動産リースバック業者】入金
期間:契約当日、契約翌営業日
不動産リースバック業者から
- 売買代金 - 諸費用
の金額が入金されます。
不動産リースバックのその後の手続き
リースバック後.毎月の家賃(リース料)の支払
不動産リースバックの契約が完了したら、マイホームから賃貸物件に切り替わることを意味するため、今後は家賃の支払いが必要になります。
家賃は、前払いが基本ですので、初回契約時には2カ月分の前家賃が発生します。
リースバック後.契約更新
不動産リースバックの場合は、「普通借家契約」よりも、契約期間が決まっている「定期借家契約」を締結することが多いです。
2年、3年の契約期間終了時に自動更新になるのが一般的です。自動更新の場合は、とくに手続きなどは不要です。
リースバック後.買戻し
不動産リースバックの場合は、契約時に設定された「買戻し金額」を支払うことで、買戻しが可能になります。
「買戻し」は、所定の期間経過後(3カ月、6カ月など)は、いつでも可能になります。資金が用意できたタイミングで買い戻しが可能です。
リースバック後.退去
元マイホームに住み続ける理由がなくなったり、近くにもっと安い家賃の物件が見つかったり、さまざまな理由で、住み続ける必要性がなくなる可能性があります。
この場合は、いつでも「退去」が可能です。
不動産リースバックの全体まとめ
不動産リースバックの申込から、入金までの流れ
- ステップその1.【申込者】申込
- ステップその2.【申込者】不動産リースバック業者から「申込内容確認」のご連絡
↓2営業日 - ステップその3.【不動産リースバック業者】簡易査
- ステップその4.【申込者】不動産リースバック業者から「簡易査定結果の通知」「申込意思の確認」のご連絡
- ステップその5.【申込者】申込の必要書類の準備
↓1営業日
↓日程調整次第 - ステップその6.【申込者】【不動産リースバック業者】面談・現地調査
↓1営業日 - ステップその7.【不動産リースバック業者】本査定・社内決済
↓1営業日 - ステップその8.【申込者】本査定結果の通知
↓1営業日 - ステップその9.【申込者】契約時の必要書類の準備
↓1営業日
↓日程調整次第 - ステップその10.【申込者】【不動産リースバック業者】契約手続き
- ステップその11.【不動産リースバック業者】入金
全体で
書類の準備、現地調査・契約の日程調整が難航した場合:4週間
ぐらいを見ておくと良いでしょう。
不動産リースバックの契約後
- (前払い)毎月の家賃(リース料)の支払
- (更新タイミング:2年~3年)で契約更新
- (すきなタイミング)で退去
- (すきなタイミング)で買戻し
不動産リースバックの手続きに関するよくある質問
見積もりを取るだけで、断りたいのですが、どのタイミングまで断れますか?
不動産リースバックでは、マイホームを売却するのですから、「少しでも高値で売却したい。」と考えるのが当然です。そうなると、複数の不動産リースバックに相見積もりを取るのですから、複数の不動産リースバック業者で、上記のフローを辿ることになります。
相見積もりの場合は、3社に申し込めば2社に断らなければならないため、「どのタイミングまで断れるのか?」は、理解しておく必要があります。
契約書を締結するまでは、契約は成立しないからです。
この段階であれば、不動産リースバック業者も、現地調査などの人件費をそれほどかけていない状況ですので、断りやすいのです。
相見積もりをしていることを、不動産リースバック業者に伝えても、不動産リースバック業者にとっては、慣れていることですし、競合の存在がわかれば、査定結果に+αしてくれる可能性も考えられます。
地方のため、不動産リースバック業者での契約が難しい場合はどうすれば良いでしょうか?
不動産リースバック業者の対象エリアであれば、出張契約、郵送契約で対応してくれるはずです。
基本的に出張で、提携しているお近くの司法書士が担当してくれることが多いようです。担当者とは、WEB会議システムで面談しながら、進める形になります。
簡易査定の結果、買取が可能な場合、現地調査後も買取が可能になるのでしょうか?
簡易査定というのは、あくまでも、机上(パソコン)の情報だけで査定するものですから、現地調査で大きな瑕疵が見つかってしまった場合など、現地調査後に「買取ができない」という結果になる可能性はあります。
査定結果に対して、価格交渉する余地はありますか?
価格交渉・条件交渉の余地はあります。ゼロではありません。
不動産リースバック業者の会社の経営方針にもよりますが、
あくまでも、担当者が稟議書を作成し、それを上司や役員が承認するフローになっているため、担当者の匙加減の範囲内であれば、価格交渉後の価格で稟議を上げてくれる可能性があるのです。決裁が通れば、価格交渉が成立したことになります。
反面、会社として、査定ルールが厳格に決められていて、査定結果以上の交渉ができない不動産リースバック業者もあります。
価格交渉を希望する場合は、競合他社の査定額など数値面のデータを用意した上で、担当者に相談してみると良いでしょう。数値的な根拠がないと、担当者も稟議書に反映させにくいのです。
「不動産リースバックで、申込から契約までの流れを教えてください。」
「不動産リースバックは、申し込んでからどのくらいで入金されますか?」