リースバックを断られたとき、理由は大きく物件の側と人の側に分かれます。物件の側の理由は会社を変えても同じように出てくるので、他社を回る前に前提を整えるほうが早く進みます。人の側の理由は会社や保証会社の方針で変わるため、回る意味があります。ここでは、公表されている取扱条件と条文をもとに、断られる理由を1つずつ分解し、それぞれで打てる手を並べます。買取価格の水準は物件ごとに決まるため、相場の割合は書きません。
この記事の要点
- いちばん多い理由は住宅ローンの残債が査定額を上回ることです。抵当権を抹消できないため、そのままでは決済できません。
- ただし差額を現金で用意すれば取り扱えると公表している会社があります。「残債が多い=不可」ではありません。
- 借地上の建物は、土地所有者との調整が要るため難しいケースとして明示されています。地主の承諾が取れれば道が残ります(民法612条1項、借地借家法19条1項)。
- 対応エリアは会社ごとに公表されています。「全国主要都市」でも市街化調整区域は原則対象外と書いている会社があります。
- 共有名義は共有者全員の同意が必要です(民法251条1項)。1人でも反対すれば会社を変えても通りません。
- 家賃保証会社の審査基準は公表されていません。断られた理由が保証会社側なら、別の会社をあたる意味があります。
断られる理由を2つに仕分ける
最初にやることは、理由を物件側と人側に分けることです。ここが分からないと、次の行動が決まりません。
| 分類 | 理由 | 会社を変えて解決するか |
|---|---|---|
| 物件・権利 | 残債が査定額を上回る | 差額を用意できれば取り扱う会社がある。用意できないなら会社を変えても同じ |
| 物件・権利 | 借地上の建物 | 地主の承諾が前提。承諾があれば扱える会社がある |
| 物件・権利 | 共有者の同意が得られない | 解決しない。同意を得るか、別の手段へ |
| 物件・権利 | 市街化調整区域・違法建築・接道なし | 会社によって扱いが違うが、多くは対象外 |
| 場所 | 対応エリア外 | 解決する。エリアを公表している会社で当たりを付ける |
| 人・保証 | 家賃保証会社の審査に通らない | 解決することがある。保証会社が違えば結果も変わる |
| 金額 | 買取価格が小さすぎて家賃が設定できない | 会社によって下限が違う。少額でも扱うと公表している会社がある |
審査で何が見られているのかという全体像はリースバックの審査で見られるのは物件と権利にまとめました。この記事はその先、断られた理由ごとに何ができるかを扱います。
物件・権利の側の理由
1. 住宅ローンの残債が査定額を上回る
なぜ止まるか売買代金で残債を返せないと抵当権を抹消できず、買主は所有権を安全に取得できません。
打てる手インテリックスは、残債が査定額より大きい場合について「その差額分を現金を追加でご準備を頂く必要があります」と公表しています。差額を用意できるなら道が残ります。用意できないなら、任意売却を含めて別の手段と並べます。
2. 借地上の建物
なぜ止まるか建物を譲渡すると借地権も移るため、地主の承諾が必要です(民法612条1項)。承諾なく転貸・譲渡すると賃貸人は契約を解除できます(同条2項)。
打てる手地主の承諾を取る。得られないときは、裁判所に承諾に代わる許可を申し立てる道があります(借地借家法19条1項)。裁判所は残存期間・従前の経過・譲渡を必要とする事情その他一切の事情を考慮します(同条2項)。
3. 共有者の同意が得られない
なぜ止まるか各共有者は他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができません(民法251条1項)。売却は持分を手放す処分です。
打てる手会社を変えても解決しません。共有者が所在不明の場合の裁判所の関与を含め、取れる道は別記事で扱っています。
4. 市街化調整区域・接道なし・違法建築
なぜ止まるか将来の売却が難しい物件は、買主にとって出口が読めません。
打てる手会社によって扱いが違います。SBIスマイルは取扱エリアについて「全国の主要都市でお取り扱いしております」としたうえで「※原則、市街化区域のみお取り扱いしております」と公表しています。条件を公表している会社から当たると空振りが減ります。
5. 相続登記が済んでいない
なぜ止まるか登記名義が被相続人のままだと所有権移転の手続きに進めません。
打てる手相続登記を済ませれば取扱い可能と公表している会社があります。相続により所有権を取得した者は、相続の開始と取得を知った日から3年以内に移転登記を申請する義務があります(不動産登記法76条の2第1項)。

同ページは、取扱いが難しい地域について「本社は東京、支店は北海道・仙台・横浜・名古屋・大阪・広島・博多にございます。支店を中心とした都市圏、及びこれ隣接する地域にてサービスを提供させて頂いております」と書いています。対応エリアは「全国」と書いてあっても、実際は支店網に沿うことがあります。物件の所在地が支店から離れているなら、そこを先に確かめてください。
人・保証の側の理由
売主の属性そのものについては、制約は一切ないと公表している会社があります。休職中・就職活動中でも利用可能、過去に住宅ローンやカードの支払いが遅延したことがあっても利用可能、という回答が掲載されています。金融機関の審査と同じ感覚で諦める必要はありません。
一方、賃貸借契約を結ぶには家賃債務保証会社の審査があります。保証人は不要で買主が指定する保証会社と契約する形が案内されており、この審査基準は公表されていません。保証会社には国土交通省の任意の登録制度があり、登録事業者は一覧で照合できます。

保証会社の審査で落ちた場合、別の会社に申し込めば指定される保証会社も変わることがあります。ここは会社を回る意味がある理由です。審査の枠組みはリースバックの審査で見られるのは物件と権利に整理しています。
断られやすい条件でも扱うと公表している会社
任意売却や競売を主戦場にしている会社は、金融機関との折衝を先に始められるぶん、条件が整わない案件でも話が続くことがあります。株式会社ミライエは公式サイトで、他社が手を引く例として「競売中」「債務整理中」「税金滞納中」の方、自宅を売却しても住宅ローンが完済できない方、評価額が100万円台と少額の方を挙げています。
| 上場 | 非上場 |
| 対応エリア | 北海道・東北・関東・中部 |
| 実績 | - |
| 査定スピード | 最短即日~1週間 |
| 資金化までの日数 | 1カ月以内 |
| 査定・審査手数料 | 0円 |
| 事務手数料 | - |
| 査定額 | - |
| 設定賃料(リース料) | - |
| 年齢 | - |
| 保証人 | - |
もっとも、同社が案内しているリースバック専用サイトは2026年9月17日の時点でドメインが引けない状態にあり、手数料や契約期間、賃貸借契約の種類を現行の公式ページから読み取ることはできませんでした。確認できた範囲はミライエのリースバックにまとめました。
断られたあとの動き方
- 理由を書面か口頭で確認する
物件側か、保証側か、エリアか。ここが分からないまま次の会社へ行くと同じ結果になります。
- 残債と査定額の差を数字にする
残高証明書を取り、査定額と並べます。差額がいくらなら成立するのかが見えます。
- 前提を整えられるものから片付ける
共有者の同意、相続登記、地主の承諾。会社を変えても必要になるものが先です。
- 条件を公表している会社で当たりを付ける
対応エリア、市街化調整区域の可否、少額物件の扱い。公表されていれば、申し込む前に判断できます。
- 同じ条件で複数社に出す
1社の結果だけでは、断られたのが物件の問題か会社の方針かを切り分けられません。
- リースバック以外と並べる
任意売却、通常の売却、返済条件の変更。手段が残っているうちに動くほど選べる幅が広くなります。
同じ条件で複数社に出す手順はリースバックの相見積もり、返済が行き詰まっている段階の選択肢は住宅ローンが払えないときの選択肢と任意売却とは何かに分けています。共有名義の扱いは共有名義の家はリースバックできるか、残債と抵当権の処理はリースバックと抵当権にあります。
よくある質問
残債が査定額より多いと、どこでも断られますか
断られるとは限りません。インテリックスは、残債が査定額より大きい場合について差額分を現金で追加準備する必要があると公表しています。差額を用意できるかどうかが分かれ目です。
借地の家は無理ですか
土地所有者との調整が必要になるため難しいケースとして挙げられていますが、調整のうえで活用できるケースもあると案内されています。承諾が得られないときは、裁判所に承諾に代わる許可を申し立てる道もあります(借地借家法19条1項)。
市街化調整区域でも扱ってもらえますか
会社によります。SBIスマイルは原則として市街化区域のみの取り扱いと公表しています。条件を公表している会社の記載を先に読んでください。
保証会社の審査に落ちました。もう無理ですか
別の会社に申し込めば、指定される保証会社が変わることがあります。保証会社の審査基準は公表されていないため、事前に判断することはできません。
過去に延滞があることが原因ですか
売主の属性について制約は一切ないと公表している会社があり、過去の延滞があっても利用可能と書かれています。断られた理由がそこにあるとは限らないため、まず理由を確認してください。
この記事で確認した一次情報
- インテリックス「あんばいご利用の注意点」(取り扱いが難しいケース):https://www.intellex.co.jp/leaseback/case/
- SBIスマイル「リースバック よくある質問」(取扱エリア):https://www.sbismile.co.jp/leaseback/faq/
- センチュリー21「センチュリー21のリースバック よくあるご質問」(取扱いの条件・収入面の制約・保証人):https://www.century21.jp/sell/leaseback/faq
- 株式会社ミライエ「ミライエのリースバックとは!?」:https://keibai.mira-ie.co.jp/post-15060/
- 国土交通省「登録家賃債務保証業者一覧」:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr7_000028.html
- e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)251条・612条:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- e-Gov法令検索「借地借家法」(平成三年法律第九十号)19条:https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090
- e-Gov法令検索「不動産登記法」(平成十六年法律第百二十三号)76条の2:https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123















