リースバックで仲介手数料がかかるかどうかは、取引の形で決まります。会社が自分で買い取るなら仲介は入らず、手数料も発生しません。逆に、会社が売主と買主をつなぐ立場なら媒介になり、報酬が生じます。まず自分の取引がどちらなのかを確かめ、そのうえで、法令に上限がある費目と、会社が自由に決めている費目を分けてください。
先に押さえる四点
宅地建物取引業者が売買・交換・貸借の代理または媒介に関して受けることのできる報酬の額は国土交通大臣の定めるところによるとされ、業者はその額を超えて報酬を受けてはなりません(宅地建物取引業法46条1項・2項)。
その額は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に掲示しなければなりません(同条4項)。上限がいくらかは、そこで確認できます。
不当に高額の報酬を要求する行為は禁止されています(同法47条2号)。
いわゆる事務手数料には法令の定めがありません。名目が何であれ、金額と根拠を書面で確認してください。
まず、自分の取引に仲介が入っているかを確かめる
リースバックの形は大きく二つに分かれます。会社が直接買い取る形と、会社が媒介して別の会社や投資家が買う形です。仲介手数料が発生するのは後者だけです。
| 取引の形 | 買主 | 仲介手数料 | 公表されている例 |
|---|---|---|---|
| 直接買取 | リースバックを行う会社そのもの | 売買の仲介は入らないため発生しない | スター・マイカは公式ページでメリットとして「仲介手数料無料」を挙げ、「物件の売買においては、売却代金×3%+6万円が法定手数料となります」と説明している |
| 媒介 | 紹介された提携会社や投資家 | 媒介した宅地建物取引業者の報酬が生じうる | 伊藤忠ハウジングは公式ページで「当社がお客様と提携リースバック会社の売却を媒介する安心のスキーム」と説明している |
| 個人間の売買 | 親族や知人 | 宅地建物取引業者が関与しなければ発生しない | 宅地建物取引業法は業として行う者に向けた規制であるため、当事者どうしの売買には適用されない |
直接買取か媒介かは、提案を受けた段階で確認できます。窓口になっている会社が買主になるのかどうかを聞いてください。商品ごとの形はスター・マイカのマンションリースバックと伊藤忠の住宅リースバックで扱っています。
上限がどこに書いてあるのか
報酬の上限は法律本文に金額として書かれているわけではありません。宅地建物取引業法46条1項が「国土交通大臣の定めるところによる」とし、同条3項で国土交通大臣がこれを告示すると定めています。そして同条4項が、業者に対してその額を事務所ごとに公衆の見やすい場所へ掲示するよう義務づけています。

実務では「売却価格の3パーセント+6万円」という速算式が使われます。この式を公表資料で確認したい場合は、取引する会社の事務所に掲示されている報酬額表を見るのが確実です。46条4項がその掲示を義務づけているのは、まさに依頼者が自分で確認できるようにするためです。
「仲介手数料無料」と「費用が一切かからない」は別のことです。直接買取であれば売買の仲介手数料は発生しませんが、賃貸借の開始時にかかる費用は別に生じます。スター・マイカは公式ページで、敷金を賃料の1〜2か月分、賃貸保証会社加入料を賃料の45〜60パーセント程度、家財保険加入費用を22,000円程度と公表しています。
法令に根拠がある費用と、会社が決めている費用
リースバックで請求されうる費目を、根拠のある順に並べます。金額を比べる前に、その費目がどちらの側にあるのかを見てください。
| 費目 | 根拠 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 仲介手数料(媒介報酬) | 宅地建物取引業法46条1項・2項。上限は国土交通大臣の告示 | 事務所に掲示された報酬額表(同条4項) |
| 印紙税 | 印紙税法。不動産の譲渡に関する契約書には軽減措置がある | 国税庁タックスアンサーNo.7108の税額表。契約金額1,000万円超5,000万円以下は1万円、5,000万円超1億円以下は3万円(平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成するもの) |
| 登録免許税 | 登録免許税法 | 国税庁タックスアンサーNo.7191の税額表。売買による所有権移転は土地・建物とも不動産の価額の1,000分の20。土地は令和11年3月31日までの登記について1,000分の15の軽減がある |
| 司法書士報酬 | 法令の定めはない | 見積書。誰が選任するのかもあわせて確認する |
| 事務手数料 | 法令の定めはない | 金額と、何に対する対価なのかを書面で確認する |
| 敷金 | 民法622条の2。担保として預かる金銭で、明渡し後に未払債務を差し引いた残額が返る | 賃貸借契約書の敷金条項 |
| 賃貸保証会社の加入料 | 法令の定めはない | 見積書。原則として戻らない費用である点も確認する |
| 火災保険料・家財保険料 | 法令の定めはない | 見積書。加入先を選べるかどうかも聞く |
見るところ
- 受け取る金額(売却代金から諸費用と前払い家賃を引いた額)
- 賃貸開始時に出ていく金額の合計
- 費目ごとに、戻るもの(敷金)と戻らないもの(加入料・手数料)の別
- 各費目の根拠。法令に上限があるのか、会社が決めているのか
見なくていいところ
- 「仲介手数料無料」という表示だけ。直接買取なら、もともと発生しない費目である
- 費目の名前。事務手数料でも契約事務手数料でも、法令の定めがない点は同じ
- 他社の相場という説明。各社が算定方法を公表していないため検証できない
金額が妥当かどうかを確かめる手順
費目の名前ではなく、手元に残る金額で比べるのが確実です。次の順に確認してください。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1. 取引の形を確認する | 窓口の会社が買主なのか媒介なのかを聞く。媒介なら、報酬額表の掲示を確認する(宅地建物取引業法46条4項) |
| 2. 費目をすべて書き出してもらう | 売買にかかる費目と、賃貸借の開始時にかかる費目を分けて一覧にしてもらう |
| 3. 受取額を計算する | 売却代金から諸費用と前払い家賃を引いた金額を出す。会社ごとにこの金額を並べる |
| 4. 根拠を聞く | 法令に定めのない費目については、何に対する対価なのかを説明してもらう |
| 5. 同じ条件で他社にも出させる | 売却価格だけでなく、家賃と諸費用まで同じ形式で出してもらう |
諸費用の全体像はリースバックに必要な諸費用、同じ条件で複数社から見積もりを取る手順はリースバックの相見積もり、申込から入金までの流れはリースバックの申込から入金までの流れにまとめています。
よくある質問
リースバックに仲介手数料はかかりますか
会社が直接買い取る形であれば、売買の仲介は入らないため発生しません。会社が媒介する形であれば、宅地建物取引業法46条の範囲で報酬が生じます。
仲介手数料の上限はどこで確認できますか
宅地建物取引業法46条1項は、報酬の額を国土交通大臣の定めるところによるとしています。業者は同条4項により、その額を事務所ごとに公衆の見やすい場所へ掲示しなければなりません。取引する事務所の掲示で確認できます。
事務手数料は仲介手数料と何が違いますか
仲介手数料は宅地建物取引業法46条の報酬にあたり、上限が定められています。事務手数料には法令の定めがありません。名目が違えば上限の規制も違うため、金額と対価の内容を書面で確認してください。
「仲介手数料無料」なら費用はかかりませんか
売買の仲介手数料が発生しないだけで、他の費用は別に生じます。賃貸借の開始時にかかる費用を公表している会社の例では、敷金が賃料の1〜2か月分、賃貸保証会社加入料が賃料の45〜60パーセント程度、家財保険加入費用が22,000円程度とされています。
高すぎる手数料を請求されたらどうすればよいですか
宅地建物取引業法47条2号は、不当に高額の報酬を要求する行為を禁止しています。宅地建物取引業に関する苦情の窓口と、法令違反の申出先は分かれています。相談先の選び方はリースバックの相談先はどこ?で整理しています。














